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『怒り』 #映画怒り #感想 [映画大好き!]

 観終わった後に清々しい感動を覚える映画ではない。。。

 映画の終盤に向け,いろんな感情の爆発を自分の心の中で痛いほどに感じられる。。。

 一つの映画の中で,大きな大きな感情の高ぶりをいろんな形で波状攻撃のようにぶつけられていた気がします。。。

怒り.jpg

 映画『怒り』

 観ようと思ったきっかけはかなり前から観ていた予告編ですかね。

 贅沢なほどのキャストを揃え,衝撃的な殺人事件をきっかけとした物語がスクリーンに紹介されておりました。

 えぇ,もちろん少なからずも大好きなすずちゃんが出ていたことも影響しております。

 そして一番の理由は,李相日監督の作品であること!

 『悪人』

 これがまたドスンとくる作品でございました。

 ざっくりとは映画予告編だけの情報しか知らないまま。。。
 原作を読まずに映画だけのインパクトを楽しもうと劇場を訪れました。

 きっかけは,八王子の夫婦殺人事件。。。
 被害者の血で壁に記された「怒」の文字。。。
 得体のしれない叫びにも似たこの言葉が,劇中ではいろんなシュチエーションに描かれた登場人物の心の絶叫を暗示するものとなっていくのです。

 宮﨑あおいの叫び,広瀬すずの叫び,妻夫木聡の叫び。。。
 3つのストーリーの全てで圧倒的な感情の振り幅を観る者にぶつけてきます。

 どうしてくれよう。
 なんとかできなかったのか?
 なんでこんなことに。
 ああしておけば。。。

 自分が直面するかもしれない色んな人との出会い,心の葛藤,事件,etc...
 登場人物におこる事象のどこかを自分に置き換えてしまい,いつしか観る者も
 ぶつけようのない心の叫び
 をあげたくなるような展開となっていくのです。。。

 そして理解することの難しい叫びを抱えていたのが隠れていた犯人でもあるわけです。

 特筆すべきはやはり女優2人の演技でしょうか。。。

 宮﨑あおい。

 これまでも素晴らしい演技をスクリーンで演じてきてくれました。

 でもこの「怒り」はこれまでの彼女を覆すほどの演技をみせております。

 おそらく人物設定上ではかなり難しい位置付けの役作りであったかと思います。

 その人物像の中でみせる彼女の心の葛藤,爆発は叫びだす声だけでは発散しきれません。

 着飾らない素のままの彼女の演技は宮崎あおいの姿をしながらも,明らかに生まれ変わったほどの異なる宮崎あおいをみせてくれています。

 広瀬すず。

 大好きです。付き合ってください!←チガウ

 この映画で間違いなく彼女は女優になりました。

 これまでの彼女と今後の彼女は絶対に違うはずです。

 劇中の彼女は正直言うとすずちゃんファンとしてはかなりショッキングなことになっております。

 でも彼女の叫び,怒りはまさにぶつけようのない心の叫びの最もわかりやすいモノとなっています。

 沖縄の海に,沖縄の空に響くすずちゃんの叫びは,声として響くものだけ出は発しきれないもっともっと深く大きなものであります。

 人は皆,なにかしら行き所のない感情の大波を抱えることがあります。

 その感情の振幅からあふれ出る叫びを「怒」としてこの映画は表現しているのだと思います。

 もちろん彼女たちを生まれ変わらせたのは李相日監督の手腕によるものでしょう。。。

 そしてその力は他の出演陣にもしっかりと伝わっております!

 3人の謎を持つ男を演じる綾野剛,松山ケンイチ,森山未來はもちろん,渡辺謙,池脇千鶴,沖縄の少年を演じた佐久本宝,みな素晴らしい。。。


 最後に忘れてはならないのは音楽のマッチング。。。

 心の叫びを描く中で,演技と共に観る者の心に沁み込み,そしてゆすってきます。。。

 実はこれも劇場いくまで知らなかったのですが,坂本龍一のもとに2CELLOSが奏でるものでありました。。。

 俳優陣の素晴らしい熱演!
 世界的スケールの音楽!
 李相日監督の圧倒的なパワー!

 そのすべてが結実した作品としてこの『怒り』という作品は出来ております。

 あまりにも心をゆすられ過ぎて,安直に「面白いから是非観に行ってください!」とは言いにくい程の作品です。。。

 でも映画が好きであるならば観なければいけない作品であると思います。


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